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犬の温度・湿度管理ガイド|冬の室内環境は何度・何%が理想?乾燥対策も解説

「暖房をつけているから大丈夫」「毛があるから寒さには強いはず」と思われがちですが、犬は人よりも床に近い場所で生活するため、寒暖差や冷えの影響を受けやすいとされています。

特に冬場は、寒さそのものに加えて、暖房による乾燥や急な温度変化が重なり、体調を崩してしまうケースも少なくありません。「最近、咳が出やすい」「皮膚がカサカサしている」「なんとなく元気がない」――こうした変化の背景に、室内の温度・湿度環境が関係していることもあります。

今回は、冬に起こりやすい犬の体調トラブルに触れながら、室温・湿度の目安と、今日からできる環境づくりのポイントを獣医師の視点から解説します。


■目次
1.犬にとって快適な温度と湿度とは?
2.冬の室内で起きやすいトラブル
3.今日からできる|冬の室内「温度管理」のポイント
4.加湿・保湿で乾燥対策を強化
5.まとめ

犬にとって快適な温度と湿度とは?


一般的に、犬が快適に過ごしやすいとされる室内環境の目安は次のとおりです。

温度20〜22℃前後
湿度50%前後

ただし、すべての犬にとって同じ環境が最適というわけではありません。特に次のような犬は、寒さや乾燥の影響を受けやすいため注意が必要です。

子犬・シニア犬
短頭種(フレンチブルドッグ、パグなど)
短毛種
心臓・関節・皮膚に持病のある犬

このような場合は、やや暖かめ・乾燥しすぎない環境を意識してあげましょう。

また「人が快適=犬も快適」とは限りません。人の体感では問題なく感じていても、犬にとっては足元の冷えや、暖房による乾燥が負担になっていることがあります。

室温の数字だけを見るのではなく、愛犬が長い時間を過ごしている“場所”や“環境”に目を向けてあげることが、冬の体調管理につながります。

冬の室内で起きやすいトラブル


冬の室内環境は、一見すると快適そうに見えても、犬にとっては思わぬ負担が重なりやすい季節です。「寒さ」だけでなく「乾燥」や「暖まりすぎ」といった要素が、体調不良のきっかけになることもあります。

<乾燥によるトラブル>

暖房を使う季節は、室内の湿度が気づかないうちに下がりがちです。空気が乾くことで、犬の体にも次のような変化が起こりやすくなります。

・皮膚のバリア機能の低下
フケが増えるかゆみが出るなど、皮膚トラブルのきっかけになることがあります。

・鼻や喉の粘膜の乾燥
鼻水が出やすくなり、呼吸器の不調につながる場合もあります。

乾燥は目に見えにくいため、症状が出て初めて気づくケースも少なくありません。

<寒暖差・冷えによるトラブル>

冬は、暖かい室内と寒い場所との温度差が大きくなりやすい季節です。こうした急な寒暖差や冷えは、犬の体に想像以上の負担をかけることがあります。

・全身への影響
体が冷えることで、震える動きたがらない、といった様子が見られることがあります。また、免疫力が低下し、下痢や嘔吐などの消化器症状として表れることもあります。

・関節の不調
寒さで筋肉や関節がこわばり、痛み歩きにくさが目立つことがあります。

「年齢のせいかな」と感じていた変化も、冷えによるサインかもしれません。

<暖房によるトラブル>

寒さ対策として欠かせない暖房ですが、使い方によっては別の不調を招くこともあるため注意が必要です。

・脱水
冬は飲水量が減りやすいことと、暖房の影響で、気づかないうちに水分不足になることがあります。

・軽度の熱中症
こたつの中や暖房の近くで長時間過ごすことで、体に熱がこもる場合があります。

・低温やけど
床暖房、電気カーペットなどに同じ部位が長時間触れることで起こることがあります。特にシニア犬や、自力で寝返りが打ちにくい犬では注意が必要です。

このように、冬は気づかないうちに体に負担がかかりやすい季節です。日々の小さな変化に目を向け、室内環境を見直してあげることが、愛犬が冬を元気に乗り切るための大切な第一歩になります。

今日からできる|冬の室内「温度管理」のポイント


冬の体調トラブルは、特別な対策をしなくても、毎日の室内環境を少し整えることで防げることがあります。まずは「温度」に注目し、見直しやすいポイントから確認してみましょう。

<ポイント① 温度は「高く」よりも「安定」を意識する>

寒いとつい設定温度を上げたくなりますが、暖めすぎや急な温度変化は、かえって体に負担をかけてしまいます。

意識したいのは、次の点です。

暖房は「弱め」で一定の温度を保つ
朝晩で室温差が大きくならないようにする
冷え込みやすい夕方〜夜の時間帯を想定する

エアコンは手軽ですが乾燥や温度変化が起きやすいため、可能であれば床暖房オイルヒーターなど、犬が過ごしやすい室温を安定して保ちやすい暖房を選ぶと安心です。

<ポイント② 「部屋全体」より「過ごす場所」の温度を見る>

犬は家の中でも、決まった場所で長く過ごすことが多い動物です。そのため、室温の数字だけでなく、実際に過ごしている場所の環境が重要になります。

特に次の点を確認してみてください。

ケージやベッドが冷気のたまりやすい場所にないか
窓際や床付近で冷えすぎていないか
暖房の風が直接当たっていないか

ケージで過ごす時間が長い場合は、ケージカバーを使って周囲の温度を安定させる工夫も効果的です。

<ポイント③ 床からの冷えを防ぐ>

犬は人よりも床に近い位置で過ごす時間が長いため、同じ室温でも、犬が過ごしている場所は想像以上に冷えていることがあります。

次のような対策を取り入れてみましょう。

ベッドやマット、毛布を敷く
直接フローリングに寝ない環境をつくる
底冷えしやすい場所を避ける

床暖房やホットカーペットを使う場合は、タオルや毛布を一枚挟むなど、低温やけどへの配慮も忘れずに行いましょう。

<ポイント④ 留守番中の「冷えすぎ・暖めすぎ」を防ぐ>

留守番中は、愛犬の様子を直接確認できないため、事前に室内環境を整えておくことが大切です。

ご家庭の環境に合わせて、次の点を意識してみましょう。

タイマー機能を活用し、寒くなりやすい時間帯に暖房が入るようにする
「弱めで一定」を意識し、留守中も安全に使える暖房をつけっぱなしにする
毛布だけに頼らず、部屋の空気自体をやさしく温める
暖かい場所と、少し涼しい場所の両方を用意する

犬自身が移動して体温を調整できる環境を整えておくことが、留守番中の体調管理につながります。

加湿・保湿で乾燥対策を強化


暖房を使う冬は、呼吸器や皮膚の乾燥が進みやすくなります。特に湿度が40%を下回ると、ウイルスが増えやすくなり、感染症のリスクも高まるといわれています。

<加湿は「皮膚・粘膜・気道」を守る基本ケア>

適度な湿度を保つことは、皮膚だけでなく、鼻や喉、気道の健康維持にもつながります。加湿器の使用や室内干しなどを取り入れながら、湿度が下がりすぎない環境を意識してあげることが大切です。

また、冬場は飲水量が減りやすくなるため、水飲み場を増やすなど、水分がとりやすくなるための工夫もあわせて意識してあげましょう。

<乾燥が気になるときは「皮膚の保湿」も>

乾燥が続くと、皮膚のバリア機能が低下しやすくなります。特に肉球や鼻先は影響を受けやすいため、日常的な保湿ケアを意識してあげると安心です。ただし、かゆみやフケが目立つ場合は、早めに動物病院へ相談しましょう。

加湿と保湿を組み合わせることで、冬の乾燥による負担をやわらげ、愛犬が快適に過ごしやすい室内環境を整えることができます。

まとめ


冬の寒さや乾燥、寒暖差は、愛犬の体に思った以上の負担をかけることがあります。適切な室温・湿度を意識し、生活環境を整えることは、冬の体調管理の大切な一歩です。

当院では、症状だけでなく、ご家庭での過ごし方や生活環境も含めて丁寧にお話を伺いながら、その子に合ったケアや受診のタイミングをご提案しています。

「このくらいで受診していいのかな」「環境の問題なのか分からない」そんな段階でも構いません。気になる変化があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

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