毛玉にご注意!!! 毛玉嘔吐で食道閉塞後に起こった食道狭窄症 / 内視鏡下食道バルーンダイレーションによる食道拡張術
毛玉が胃の中でこんなに大きく!!
吐き切れずに起きてしまった一大事
2週間前に近医にて巨大な毛玉が食道に詰まって胃カメラで取れず、その後も食べても吐くを繰り返し、嘔吐が止まらないという主訴で来院。
詰まった毛玉は応急処置的に胃内に戻してもらったままとのこと。
レントゲン検査でも胃の中にはっきりと分かる拳ほどお化け毛玉。
内視鏡で上部消化管検査を行うと、やはり食道にかなり細くなった狭窄部が認められ、これが食べても吐いてしまうという原因。
正常部位はこんな感じ。
このように異物が詰まったりした後の強い炎症で瘢痕狭窄を起こす症例は少なくない。
最近では歯磨きガムなどを丸呑みして食道内に詰まらせてしまう事故が非常に多くなっています。
すぐさま胃内に残ったままの巨大毛玉とこの食道狭窄の治療を行うことに。
ご家族には治療が長期になること、正常な食道機能にまではならなくとも口から食餌を摂っても吐かないように出来ることをゴールに頑張りましょうと励まし、治療開始。
まず胃から巨大毛玉を摘出。
細径内視鏡にて経咽頭胃食道カテーテルを設置。
かなり痩せてしまったので、カテーテルから流動食で栄養をしっかり摂って、後日内視鏡下でバルーンダイレーションによる拡張術を実施。
食道バルーンダイレーションは急激な拡張による食道破裂を避けるために段階的に実施していきます。
通常は太さの異なるダイレーターを用いて2~3回実施します。
正常の食道径の半分以上にまでなると症状が改善すると言われています。
一度目のダイレーション。
まだ少し細いです。
再狭窄を起こさないように設置する胃食道カテーテルも狭窄部に合わせて太くしていきます。
二度目のダイレーション。
かなり太くなってきました。
巨大毛玉を摘出してから2ヶ月後、ようやくカテーテルを除去。
安定するまでに更に数ヶ月かかりましたが、しっかりと食餌も摂れるようになりました。
摘出する時にライオンカットを併せて実施。
伸びた後も毎日欠かさずブラッシングケアをしてもらうことで治療終了。
猫ちゃんもご家族も大変な思いをされましたが、元気に食べれるようになって一安心。
たかが毛玉、されど毛玉で一大事・・・。
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