獣医師が教える!愛犬の免疫力を高める方法とは
季節の変わり目は、人間だけでなく、犬も体調を崩しやすい時期です。急な気温や湿度の変化により免疫力が低下し、感染症や皮膚炎、消化器の不調など、さまざまな病気にかかりやすくなります。特に、皮膚炎は免疫力の低下が影響しやすく、かゆみや炎症を引き起こしやすいため、注意が必要です。
今回は、愛犬の病気のリスクを減らすために知っておきたい「免疫力」を高める方法について、詳しく解説します。
■目次
1.愛犬の免疫力が低下したサイン
2.なぜ季節の変わり目は要注意?
3.免疫力を高める食事管理
4.運動と休息のバランス
5.ストレス管理とスキンシップ
6.皮膚ケアと清潔管理
7.獣医師に相談すべき状況
8.まとめ
愛犬の免疫力が低下したサイン
免疫力が低下すると、以下のような症状が見られることがあります。
・元気がない、動きたがらない
・食欲が落ちる
・下痢や嘔吐が続く
・皮膚の赤みやかゆみが増える(皮膚炎)
・歯周病になりやすくなる
特に、子犬やシニア犬(7歳以上)は免疫力が低下しやすいため、より注意が必要です。
<季節の変わり目に特に注意すべきポイント>
季節が移り変わる時期は、さまざまな不調が現れやすくなるため、日々の生活習慣を見直し、体調管理に気を配ることが大切です。
・栄養管理:年齢や健康状態に適したフードを適切な量与える
・睡眠環境:十分な休息が取れていないと免疫力が下がるため、寝床を快適に保つ
・運動不足の解消:血流を良くし、体の防御機能を高めるため、適度な運動を取り入れる
なぜ季節の変わり目は要注意?
季節の変わり目は、急な気温・湿度・気圧の変化が体に負担をかけ、体調を崩しやすくなる時期です。特に、春から夏、秋から冬の移行期には、急激な気温変化に適応しきれず、免疫力が低下することがあります。
また、そのような変化がストレスの原因となり、さらなる免疫機能の低下につながることもあるため、環境に合わせた対策を行いましょう。
<室内飼いの犬の場合>
・室温と湿度を調整し、外の気温差による負担を軽減する
・冷暖房の風が直接当たらないようにする
<屋外飼いの犬の場合>
・夏場は熱中症対策として、日陰や涼しい場所を確保する
・冬場は防寒対策をし、冷たい風を避けられる環境を作る
免疫力を高める食事管理
免疫力の維持には、腸内環境を整えることが非常に重要です。腸には体全体の免疫細胞の約7割が集まっていると言われ、善玉菌を増やすことで免疫機能の活性化が期待できます。
<免疫力アップに役立つ食品>
腸内環境を整えることは、免疫力を維持するうえで非常に重要です。善玉菌を増やすために、以下のような食材を取り入れるのもおすすめです。
・発酵食品:納豆、プレーンヨーグルト(無糖のもの)など
・食物繊維・オリゴ糖:リンゴ、にんじん、キャベツ、バナナ など
・タンパク質:赤身肉、鶏卵 など
フード(総合栄養食)と一緒に、全体の10%程度を目安に与えるとよいでしょう。初めての食材は少量から与え、体調の変化を確認してください。
また、犬の免疫力をサポートするサプリメントも販売されているため、必要に応じて獣医師に相談してみましょう。
運動と休息のバランス
適度な運動と十分な休息をとることも、免疫力維持には欠かせません。
<犬の適正な散歩時間の目安>
犬の適正な散歩時間は体の大きさにより異なります。
・小型犬:1日2回 各20~30分
・中型犬:1日2回 各30分~1時間
・大型犬:1日2回 各1時間前後
シニア犬の場合は、1回10分程度の散歩を数回に分けて行うのがおすすめです。
<季節ごとの注意点>
暑い季節は熱中症対策が必要なので、朝や夕方の涼しい時間帯に散歩するようにしましょう。真夏日は、屋内のドッグランを活用するのも良い方法です。寒い季節は、しっかりと防寒対策をして冷えを防ぎましょう。
<質の良い睡眠環境を整える>
犬は1日12~14時間程度の睡眠が必要です。快適に休めるように、寝床の環境を整え、温度・湿度の管理をこまめに行いましょう。
ストレス管理とスキンシップ
ストレスは免疫力の低下につながるため、愛犬が安心して過ごせる環境を整えることが大切です。強いストレスを受けると、免疫機能が正常に働かなくなることがあります。
<スキンシップの重要性>
愛犬とのスキンシップは、ストレス軽減や安心感の向上につながるだけでなく、免疫力を高める効果も期待できます。特に、飼い主さまとアイコンタクトを取ることや、優しく触れることは、犬の脳内で「オキシトシン(愛情ホルモン)」の分泌を促し、心身のリラックスにつながります。
<スキンシップのポイント>
・目を合わせて優しく名前を呼ぶ
・落ち着いた状態で撫でる(耳の後ろや背中など)
・一緒に遊ぶ(おもちゃを使った遊びや軽い運動)
短時間でも毎日愛犬と触れ合う時間をつくることで、ストレスを軽減し、健康的な免疫力を維持しやすくなります。
皮膚ケアと清潔管理
免疫力が低下すると、皮膚のバリア機能も弱まり、皮膚炎や乾燥、かゆみなどのトラブルが起こりやすくなります。日頃のケアを適切に行うことで、皮膚の健康を維持し、外部からの刺激に強い体をつくることができます。
<皮膚の健康を保つためのケア>
・定期的なシャンプーとブラッシングで清潔を保つ
・シャンプーは月1~2回が目安(皮膚トラブルがある場合は、獣医師と相談のうえ頻度を調整)
<皮膚の健康維持に役立つケア用品>
・低刺激のシャンプー(アレルギー対応、保湿成分配合のものなど)
・ブラッシング用のブラシ(犬種や毛質に合ったものを使用)
・保湿ローション・スプレー(乾燥肌対策に効果的)
皮膚の状態に合わせて、最適なケア用品を選ぶことが重要です。皮膚が赤くなっている、かゆがっている、フケが多いといった症状がある場合は、使用するシャンプーや保湿剤について獣医師に相談しましょう。
また、皮膚の健康を守るためには、愛犬の生活環境を清潔に保つことも大切です。寝床やクッションを定期的に洗濯したり、カーペットやソファなどをこまめに掃除し、快適な環境を整えましょう。
◼犬の皮膚ケアについてはこちらの記事もご覧ください
獣医師に相談すべき状況
ご家庭での適切なケアと並行して、病気の兆候を見逃さないことも大切です。以下のような変化が見られたら、早めに動物病院を受診しましょう。
・咳が続く
・下痢や嘔吐が続く
・元気がない、食事を摂りたがらない
・いつもより動きたがらない
また、定期的な健康診断を受けることで、病気の早期発見・早期治療が可能になり、治療の選択肢が増えるだけでなく、愛犬の負担を軽減することにもつながります。
まとめ
愛犬の健康を守るためには、日々のケアで免疫力を維持することがとても大切です。特に季節の変わり目は、気温や湿度の変化によって体調を崩しやすいため、食事・運動・休息のバランスを整え、ストレスを軽減することを意識してみましょう。
また、健康診断を定期的に受けることで、病気の早期発見・早期治療につながります。愛犬の「なんとなく元気がない」「食欲が落ちた」「便がゆるい」などの小さな変化を見逃さず、体調が少しでも気になる場合は早めに獣医師に相談することをおすすめします。日々のケアと定期的なチェックで、愛犬の免疫力をサポートしていきましょう。
愛知県みよし市にある犬と猫の病院「Ken doc.」
お問い合わせはこちら
投稿者プロフィール

- 愛知県の動物病院
- 愛知県みよし市にあるKen Doc.は、犬や猫のためだけの動物病院です。入院室、手術室、そしてICUなど、充実した設備を備えており、大切なペットの健康をしっかりとサポートします。また、獣医師や愛玩動物看護師の求人情報も随時募集しています。Ken Doc.で、あなたのペットの健康を守るためのパートナーとなります。
最新の投稿
ブログ2025年5月7日獣医師が教える!愛犬の免疫力を高める方法とは
ブログ2025年5月7日愛犬の消化器疾患|下痢や嘔吐の原因と対処法、食事管理のポイント
ブログ2025年4月30日梅雨に増える犬の皮膚トラブル!気をつけたい症状と対処法を獣医師が解説
ブログ2025年4月30日愛犬の肝臓病サイン、見逃していませんか?早期発見のポイントを獣医師が解説
タグ一覧
- RECOVER CPR
- おしっこの回数が増える
- お知らせ
- かゆい
- しこり
- しつけ
- ふけ
- アトピー
- アニクリ24
- アレルギー
- オンライン予約について
- ケンカ
- シニア犬に多い病気
- ズーノーシス
- トイ・プードル
- フレンチブルドッグ
- フード
- ヘビ咬傷
- マラセチア
- ミニチュア・ダックスフンド
- ワクチン
- 不整脈
- 予防
- 会陰ヘルニア
- 便が出ない
- 健康チェック
- 健康診断
- 僧帽弁閉鎖不全症
- 内視鏡下バルーンダイレーション
- 副腎皮質機能低下症
- 口を痛がる
- 口唇粘膜炎
- 口臭が強くなる
- 咳
- 変形性関節症
- 多飲多尿
- 夜間緊急診療
- 子犬
- 子猫
- 徘徊
- 心肺蘇生
- 応急処置
- 性格の変化
- 怪我
- 愛玩動物看護師
- 感染症予防
- 慢性腎臓病
- 救急
- 散歩を嫌がる
- 栄養管理
- 歯が抜ける
- 歯のケア
- 歯周病
- 毛玉
- 水をよく飲む
- 治らない
- 爪とぎ
- 犬
- 猫
- 生活習慣
- 症状
- 白内障
- 皮膚検査
- 皮膚炎
- 目が見えない
- 目をこする
- 眼球摘出術
- 睡眠
- 研修プログラム
- 社会化
- 糖尿病
- 脱毛
- 脾臓
- 腫瘍
- 診療科
- 認知症
- 足を引きずる
- 食欲が落ちる
- 食欲旺盛なのに体重が減る
- 食道狭窄
- 黒目が白っぽくにごる