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目の中にできものが・・・虹彩リンパ腫(治療)

今回は前回紹介した症例の実際の治療とその経過になります。

目の中にできものが・・・虹彩リンパ腫(診断)

眼球を摘出したのち、術後の美観目的でシリコンボールを挿入する場合もありますが、今回はねこちゃんの性格や腫瘍症例であることを踏まえてシリコンボールの挿入は実施しませんでした。

眼窩内に漿液が溜まらないように数日ドレーンを入れています。

今回は手術後3日ほどでドレーンは除去しました。

術後経過は良好で5日ほどで退院出来ました。

術後10日で抜糸を行いました。

傷口の癒合に問題はなく食欲・元気も問題ありませんでした。

眼球摘出後もねこちゃんの生活には特に不自由はないとのことでした。

術後1ヵ月半の検診では、目の窪んでいましたが、生活する上では問題ありませんでした。

病理検査の結果は虹彩リンパ腫を疑うとの報告でした。
今回は、眼球の摘出により腫瘍は完全に切除されており、脈管内浸潤を認められないという評価でした。

しかしながら、病理医からはリンパ腫は基本的に全身性疾患と考えた方が良いとのアドバイスがあったため、定期的に再発・転移がないかを確認するためガン検診していくことを提案しました。

術後から1年半を経過してもねこちゃんは元気にしており転移・再発も認められていません。

今回は、飼い主様の手術への判断が早かったことが順調な経過に繋がっているのではないかと思います。

投稿者プロフィール

杉山 寛幸
杉山 寛幸獣医師
獣医総合臨床医、指導獣医師

○診療科目
眼科、循環器内科、画像診断担当