お知らせ

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攻撃行動~マーキングに関連した攻撃~

マーキングをした場所を掃除していると走ってきて攻撃してくる
という主訴で猫さんが来院しました。

攻撃の程度としては激しめで飼い主さんが掃除をしていると
血が出るくらい咬みついてくるとのことで、マーキングにも困って
いるが攻撃にも困っているということでした。

この子は事情があり去勢手術がまだ実施できていなかった子で、
以前からマーキング行動はしていたが頻度と攻撃行動が徐々に
激しくなってきており飼い主さんも猫さんの体調第一とはいえ
お疲れのようでした。

ひとまずの対策としてトイレの増設、掃除以外では怒らないなら
掃除中は猫さんに別の部屋にいてもらう(掃除の現場を見せない)、
マーキングした場所に新たな香りをつけない、消臭は徹底的に、
ということを実施してもらいました。

結果、掃除後に匂いのチェックはするものの攻撃行動は止み、
いつものマーキングのみになったということでした。

数カ月後体調が万全なことを確認し去勢手術を実施し、
マーキングもしなくなったとのご報告をもらいました。

猫のマーキング行動

トイレ外への排尿は、まずマーキングなのか病的なものなのかを
区別する必要があります。

マーキングの特徴として雄はスプレー(垂直面への排尿)か犬座位で
少量の排尿、雌では犬座位で少量の排尿を行います。

膀胱炎や心因性のトイレ外排尿はまた別の行動をとるため、トイレの
外で排尿だからといってマーキングと決めてしまうのは大変危険です。

今回のケースでは、垂直面へのスプレーが多く水平面にも匂いの強い
尿を少量だけする、血尿ではない、トイレには普通の量の尿をするという
ことでマーキングを疑いました。

トイレ外での排尿への対処

マーキングかもしれなくてもトイレ回りの環境を見直してみます。

砂の種類、トイレの大きさ、周りの音、匂い(ペットシーツや砂、汚れ)、
失敗したときの人間側の反応を思い出してみましょう。

砂の種類

個体差はありますが、猫さんたちは細かい鉱物系の砂が好みの子が多く、
砂の深さも深いほうが好きです。

ウッドチップや大きいシリカゲルの砂を使っている場合は細かいものに
変えてみてください。

ペットシーツの種類

匂い付きのペットシーツが販売されていますが、犬猫は嗅覚が人間よりも
敏感なので無香料のペットシーツを使用してください。

トイレの失敗場所は無臭を目標に掃除する

完全な無臭は難しいですが、香りつきの消臭剤ではなくお湯や洗剤を
駆使してなるべく匂いが残らないように掃除をすることが大事です。

アロマオイルなどの芳香はペットのストレスに繋がることもあるため、
香りでごまかすのは推奨しません。

絶対に怒らない

猫さんはトイレを失敗したときに怒られると排泄自体が悪いことだと
考えてしまい元のトイレを使わなくなり、隠れて失敗することもあります。

また、排泄の我慢は膀胱炎や便秘などの病的な状態にもつながるため
人前でも安心してトイレができるようにしてあげてください。

ホルモンの影響によるストレス

雄猫は雌猫のように定期的に発情することはないですが、何かのきっかけ
でマーキングのような縄張り行動が悪化することがあります。

今回はおそらくですが、マーキングした場所に芳香剤の香りを上書き
されたことがストレスの一因となっていそうでした。

雄猫のマーキング行動は去勢手術によって9割が改善すると言われている
ため、今回の子のように特殊な事情がない限りは適切な時期に去勢手術
を実施することを推奨します。

雌猫であっても発情の際にマーキングをする子がいますし、
情緒不安定になって食欲や元気がなくなったり乳腺炎になったりと
発情によって起きるストレスが大きい子もいます。

乳腺腫瘍や子宮蓄膿症などの雌性ホルモンによる病気の予防にもなる
ため、ご事情がなければ若いうちでの避妊手術を推奨します。