愛犬の目・耳・皮膚のかゆみ、春のアレルギーかも?症状と対策
春になると花粉症に悩まされる方も多いのではないでしょうか?実は、犬にも花粉症(花粉アレルギー)があり、目や耳、皮膚のかゆみなどの症状が出ることがあります。
今回は、犬の花粉アレルギーの主な症状や原因、家庭でできるケア方法について詳しく解説します。
■目次
1.犬の花粉アレルギーの症状
2.犬の花粉アレルギーが春に多い理由
3.アレルギー対策|散歩編
4.アレルギー対策|室内編
5.日々のケアとグルーミング
6.獣医師に相談するタイミング
7.検査と治療
8.まとめ
犬の花粉アレルギーの症状
犬の花粉アレルギーでは、以下のような症状が見られることがあります。
・くしゃみ・鼻水
人の花粉症と同じように、くしゃみや鼻水が出ることがあります。特に、散歩の前後や窓を開けたタイミング、飼い主の帰宅時などに症状が表れやすくなります。
・目のかゆみ
涙が増えたり、白目が充血したりするほか、目をこすったりかいたりすることで、目の周りが赤くなったり脱毛したりすることがあります。
・皮膚のかゆみ
特に肉球の間や足先、脇、おなか周辺にかゆみが出やすくなります。犬の花粉アレルギーでは、人のように「目や鼻の症状」よりも「皮膚のかゆみ」が強く出ることが多いのが特徴です。
花粉との接触で症状が悪化することが多いため「どの季節・どの環境で悪化するのか」をチェックすることで、他の病気やアレルギーとの違いを見極めるポイントになります。
犬の花粉アレルギーが春に多い理由
犬の花粉アレルギーは、スギやヒノキ、イネ、ブタクサなどの花粉が原因になります。スギやヒノキの花粉は2月末〜4月頃にピークを迎えるため、この時期に症状が悪化しやすくなります。
花粉アレルギーは、特定の季節に症状が強くなる「季節性アレルギー」に分類され、花粉の飛散が落ち着くと症状が軽減するのが特徴です。一方、食事など他のものが原因のアレルギーは季節に関係なく症状が続きます(通年性アレルギー)。
特に、以下の犬種では花粉アレルギーが発症しやすい傾向があるため、注意が必要です。
▼花粉アレルギーを発症しやすい犬種
・ウエストハイランド・ホワイト・テリア
・柴犬
・シー・ズー
・ブルドッグ
・フレンチ・ブルドッグ
・パグ
・ゴールデン・レトリバー
アレルギー対策|散歩編
花粉の影響を最小限にするために、散歩の時間帯やルートを工夫しましょう。
<散歩の時間帯>
花粉の飛散のピークは、1日2回あります。以下の時間帯を避けてお散歩の時間を調整すると、症状の悪化を防ぎやすくなります。
・11~14時 :早朝に飛散した花粉が都市部に流れやすい
・17~19時 :地面に落ちた花粉が再び舞い上がりやすい
また、イネやブタクサの花粉はそれほど遠くまで飛散しません。公園や道端の草むらを避けて散歩するのも有効です。
<散歩後のケア>
散歩から帰ったら、以下の点を意識して、体についた花粉をしっかり落としましょう。
・ブラッシング で毛についた花粉を取り除く
・足先や目の周りを拭く
・肉球の間を洗う
散歩に行く際に、花粉がつきにくい服を着せるのも一案です。
アレルギー対策|室内編
花粉を室内に持ち込まないために、以下の点を意識しましょう。
・換気は雨の日に行う(花粉が少ないため)
・洗濯物は室内干し、または朝10時までに干す
・帰宅時に玄関で花粉を払い落とす
・空気清浄機を活用する(花粉対策フィルター付きのものがおすすめ)
・犬の寝床やブランケットはこまめに洗濯する
日々のケアとグルーミング
アレルギー症状を和らげるためには、日々のケアも重要です。
<シャンプーやブラッシング>
ブラッシングは、花粉が舞い上がらないようにやさしく行い、被毛に付着した花粉をしっかり取り除くことがポイントです。シャンプーは通常、月に1~2回が目安ですが、花粉の時期には頻度を増やすのがおすすめです。ただし、シャンプー後に乾燥するとかゆみが悪化することがあるため、必ず保湿を行いましょう。シャンプーが苦手な場合は、洗い流さないシャンプーや拭き取りシートを活用すると負担を軽減できます。
<目や耳のケア>
目の周りや耳を拭く際は、ぬらしたコットンやガーゼを使い、やさしく汚れを取り除くようにしましょう。特に耳の中はデリケートな部分のため、綿棒で掃除すると汚れを奥に押し込んでしまうことがあるため避けるようにしてください。
適切なケアを続けることで、アレルギー症状を最小限に抑えることができます。
獣医師に相談するタイミング
次のような症状が続く場合は、早めに動物病院へ相談しましょう。
・皮膚や耳・目のかゆみがなかなか治まらない
・皮膚や耳・目の赤みや腫れが目立つ
そのままにしておくと、かき壊して出血するなど、状態が悪化する場合があります。また、傷口から細菌や寄生虫が侵入し、二次感染を引き起こすおそれもあるため、症状が軽いうちに適切な治療を受けることが大切です。
検査と治療
アレルギーの原因を正しく見極め、症状を和らげるためには、適切な検査と治療が必要です。
<検査>
アレルギーの原因(アレルゲン)を特定するために、採血を行い、IgE抗体の有無を調べるアレルギー検査を実施します。
<治療>
アレルギー症状を抑えるために、抗ヒスタミン薬やステロイド剤、かゆみ止めなどを使用します。また、少量のアレルゲンを体内に投与し、免疫を慣らしていく免疫療法を行うこともあります。
アレルギーの治療は、症状を抑えるだけでなく、愛犬の体質や環境に合わせた対策を継続的に行うことが大切です。
まとめ
春は花粉が多く飛散し、犬のアレルギー症状が出やすい時期です。目や耳、皮膚のかゆみが続く場合は、花粉アレルギーの可能性を考え、適切なケアを行いましょう。特に、かゆみが長引いたり、皮膚の赤みや腫れが悪化する場合は、早めの受診が重要です。症状が軽いうちに適切な処置を受けることで、悪化を防ぎ、愛犬の負担を減らすことができます。
日常のケアや工夫で花粉のシーズンを上手に乗り切りましょう。
◼犬の皮膚のかゆみについてはこちらの記事もご覧ください
・皮膚炎② ~マラセチア性皮膚炎 強いかゆみを伴う皮膚炎~
・皮膚炎③ ~マラセチア性皮膚炎 皮膚炎がなくかゆみしかない症例~
・愛犬の乾燥肌が気になる飼い主さまへ|獣医師が教える原因と対策
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