脾臓のしこり(偶発的に見つかるのに命に関わる病気)
お腹の調子が悪いとのことで当院を受診されたワンちゃん。
身体検査をしてみると体温が39.6℃と高体温になっていたので、腹膜炎を疑い画像検査をしてみました。
レントゲン検査、超音波検査にて脾臓に大きなしこりが見つかりました。
(今回の胃腸障害・発熱は、脾臓のしこりが小破裂をしたところにお腹の中の脂肪が癒着したため炎症が起きて腹膜炎に繋がったためと推測されました)
このワンちゃんは、内科治療で腹膜炎を治療し、一般状態が良くなった状態で脾臓の摘出手術を行いました。
お腹を開けて脾臓を確認してみると、やはり腹腔内の脂肪(大網)が広範囲に癒着していました。
癒着は無理に剥がさず、必要のない脂肪を切除しながら脾臓を全摘出しました。(脾臓は無くなったとしても元気に生活できます)
摘出した脾臓です。
表と裏に大きなしこりを形成していました。
破裂した部分に脂肪が癒着して大出血を防いでいたようです。おかげで致命傷にならずに済んだのかもしれません。
病理組織検査を行ってもらったところ、結節性過形成(腫瘍ではない)でしたので、摘出した後は問題ないとのことでした。
(病理組織検査の結果が悪性の腫瘍であった場合には、その後の治療を考えていく必要があります)
脾臓のしこり(腫瘤)は、形成されてもほとんどの場合症状がありません。
症状が出るのはしこりがお腹の中で破裂した時で、腹腔内に多量に出血を起こして命に関わる状態になってしまいます。
破裂する前に発見されるのは、健康診断やお腹の調子が悪い際の画像検査で偶然見つかることがほとんどです。
大切なのは早期発見です。
5~6歳ぐらいになりましたら、ワンちゃんネコちゃんドック等の健康診断をお勧めします。
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