数日の油断が危険な状態に・・・〜アジソンクリーゼの紹介〜
今回は3日間お薬が飲めなくて緊急疾患にまで移行してしまったわんちゃんの症例を紹介します。
このワンちゃんは半年ほど前に『アジソン病(副腎皮質機能低下症)』の診断をしており、毎日のお薬が欠かせない状態でした。
しかしながら一時的な体調不良なのか3日程食事を採らず、食事に混ぜていたお薬も3日間投薬できていなかったようです。
診察時に体温は35.0℃になっており(わんちゃんの平熱は37.5~39.2℃程度)、明らかな低体温、さらに、聴診をしてみると明らかに心拍数が落ちておりショック状態であることがわかりました。
直ぐに、血液検査、心電図検査を実施したとろ、重度の高カリウム血症・低ナトリウム血症を起こしており、さらには腎数値の異常を示していました。
初日 | 退院時 | 再診時 | |
ナトリウム | 124 mEq/L | 145 mEq/L | 147 mEq/L |
カリウム | 7.6 mEq/L | 4.5 mEq/L | 4.5 mEq/L |
クロール | 91 mEq/L | 100 mEq/L | 100 mEq/L |
BUN | >140 mg/dl | 28.8 mg/dl | 11.1 mg/dl |
Cre | 3.19 mg/dl | 0.71 mg/dl | 0.63 mg/dl |
IP | >15 mg/dl | 3.2 mg/dl | 2.1 mg/dl |
心電図検査では重度の徐脈(36 bpm)とP波の消失を認め、高カリウム血症の症状が出ていると判断しました。
直ぐに点滴治療のため入院させて頂いたところ、数日の入院で食欲も元気も元に戻り退院することができました。
今回は偶発的なトラブルによりお薬を飲めなかったために、持病の悪化を招き、危険な状態になったわんちゃんの症例を紹介しました。
お薬をごはんに混ぜて飲ませる方法は、簡単に投薬できますが、ごはんを食べなくなると投薬が難しくなるリスクがあります。
そのため、生涯にわたって投薬をしなければならないわんちゃん・ねこちゃんにはご飯で混ぜる以外の投薬方法も必要になる場合があります。
投薬の仕方などで困っていることがあれば担当医に質問して頂ければと思います。
投稿者プロフィール
最新の投稿
- ドクター2025年1月15日数日の油断が危険な状態に・・・〜アジソンクリーゼの紹介〜
- ドクター2024年12月6日飼い主さんが気づかないうちに目が見えなくなっているかも
- ドクター2024年10月31日目の中にできものが・・・虹彩リンパ腫(治療)
- ドクター2024年9月30日目の中にできものが・・・虹彩リンパ腫(診断)
タグ一覧
- RECOVER CPR
- おしっこの回数が増える
- お知らせ
- かゆい
- しこり
- しつけ
- ふけ
- アトピー
- アニクリ24
- アレルギー
- オンライン予約について
- ケンカ
- シニア犬に多い病気
- ズーノーシス
- トイ・プードル
- フレンチブルドッグ
- フード
- ヘビ咬傷
- マラセチア
- ワクチン
- 不整脈
- 予防
- 健康チェック
- 健康診断
- 僧帽弁閉鎖不全症
- 内視鏡下バルーンダイレーション
- 副腎皮質機能低下症
- 口臭が強くなる
- 咳
- 変形性関節症
- 多飲多尿
- 夜間緊急診療
- 子犬
- 子猫
- 徘徊
- 心肺蘇生
- 応急処置
- 性格の変化
- 怪我
- 愛玩動物看護師
- 感染症予防
- 慢性腎臓病
- 救急
- 散歩を嫌がる
- 栄養管理
- 歯が抜ける
- 歯のケア
- 歯周病
- 毛玉
- 水をよく飲む
- 治らない
- 爪とぎ
- 犬
- 猫
- 生活習慣
- 症状
- 白内障
- 皮膚検査
- 皮膚炎
- 目が見えない
- 目をこする
- 眼球摘出術
- 睡眠
- 研修プログラム
- 社会化
- 糖尿病
- 脱毛
- 脾臓
- 腫瘍
- 診療科
- 認知症
- 足を引きずる
- 食欲が落ちる
- 食欲旺盛なのに体重が減る
- 食道狭窄
- 黒目が白っぽくにごる