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動物由来感染症(ズーノーシス)について知っておきたいこと

突然ですが、動物由来感染症という言葉をご存じでしょうか?ズーノーシス(Zoonosis)とも呼ばれ、動物と人間に共通する感染症を指します。「海外の病気なのでは?」「ワクチンを打っているからうちは大丈夫」とお考えの飼い主さまもいらっしゃるかもしれませんが、動物由来感染症は私たちの身近なところに潜んでおり、動物だけでなく人への感染を防ぐためにも1年を通した予防が重要になります。

今回は動物由来感染症とはなにか、どのように予防すればよいのかについて解説します。

■目次
1.動物由来感染症とは?
2.身近な動物由来感染症
3.動物由来感染症を防ぐには
4.体に異変や不調を感じたら
5.動物病院でできる感染対策
6.まとめ

動物由来感染症とは?


動物由来感染症とは、動物と人に共通して感染する病気の総称です。これらは大きく3つのカテゴリーに分けられます。

・動物には無症状でも、人では発症するもの
・動物と人間の両方で発症するもの
・人間では無症状でも、動物では発症するもの

動物だけでなく飼い主さまや周囲の人々の健康を守るためにも、動物由来感染症に関する知識を身につけることはとても大切です。

特に最近、ペットで問題になっている動物由来感染症の1つが重症熱性血小板減少症(SFTS)です。この病気はダニによって媒介され、致死率が高く、犬や猫から人へと感染することがわかっています。SFTSには有効なワクチンがありませんが、動物病院で処方されるダニ駆除薬を年間通して使用することで対策が可能です。具体的な予防策についても、この後の段落で詳しく触れたいと思います。

身近な動物由来感染症


動物由来感染症は世界中に存在し、日本でも多数確認されています。ペットが関わるものとしては、以下のような病気がみられます。

鳥類 うさぎ










・カプノサイトファーガ感染症
・パスツレラ症
・回虫症
・コリネバクテリウム・ウルセランス感染症
・エキノコックス症
・皮膚糸状菌症
・ブルセラ症
・重症熱性血小板減少症(SFTS)
・レプトスピラ症
・サルモネラ症 等
・カプノサイトファーガ感染症
・パスツレラ症
・猫ひっかき病
・トキソプラズマ症
・回虫症
・コリネバクテリウム・ウルセランス感染症
・皮膚糸状菌症
・重症熱性血小板減少症(SFTS)
・レプトスピラ症
・サルモネラ症 等
・オウム病
・クリプトコックス症 等
・野兎病 等

動物由来感染症を防ぐには


動物由来感染症に感染しないためには、日頃から以下のことに気をつけましょう。

動物との過度なふれあいを避ける
病原体が動物の口の中にいる場合があるため、過度なスキンシップをとることやお箸やスプーン、食器などを共用することは避けましょう。

飼育環境を清潔に保つ
シャンプーやブラッシングで動物自身をケアするとともに、寝床や飼育ケース(爬虫類など)はこまめに掃除をし、病原体を増やさないように心がけましょう。

トイレを清潔に保つ
動物由来感染症には、排せつ物の中に病原体を含むものが多くあります。ご家庭やペットのトイレは常にきれいにし、排せつ物が環境中に広がらないように注意しましょう。

動物に触った後は手を洗う
動物由来感染症の病原体は目で見ることができません。また、動物には影響がなくても人に感染すると重篤な症状を引き起こすものもあります。そのため、動物に触った後はすぐに石鹸を使って手を洗うように心がけましょう。

公園で遊んだ後は手を洗う
公園には、人だけでなくお散歩中の犬や野生動物がやってきます。特に砂場や花壇には排せつ物が残っている場合があるので、公園で遊んだ後は石鹸を使って手を洗いましょう。

体に異変や不調を感じたら


動物由来感染症は、感染してもすぐに重症化するとは限りません。風邪のような症状で自覚することも多いので、少しでも体に異変や不調を感じたら、すぐに医療機関を受診しましょう。その際、ご自宅で動物を飼育していることや、動物の健康状態、あるいは野生動物との接触の有無など医師に伝えることで正確な診断につながります。

動物病院でできる感染対策


ペットの健康を守ることは、人への感染対策にもつながります。
動物由来感染症には、動物病院でのワクチン接種や駆虫薬の投与で予防できるものがあります。

〇ワクチン接種で予防できる主な病気

・狂犬病
・レプトスピラ症 等

〇駆虫薬で予防できる主な病気

・猫ひっかき病(ノミ)
・SFTS(ダニ) 等

これらの病気は草むらに潜むノミ・ダニや感染した動物の糞尿を介してペットに移り、飼い主さまにも感染が広がる危険性があります。

動物の命を守ると同時に、共に暮らす人への感染を未然に防ぐためには、定期的な予防が必要です。特に駆虫薬では、フィラリア予防とノミ・ダニ・腸内寄生虫の駆除を1つの薬で完結させるものが主流になってきているため、蚊のシーズンだけでなく通年にわたって予防することが重要です。

こうしたワクチン接種や寄生虫の駆虫を徹底し、人と動物の健康を守ることを心がけましょう。

まとめ


日本では、動物由来感染症がペットを介して人に広がるケースが多く見られます。最近ではペットと人との距離が近づく一方で、動物由来感染症のリスクも高まっています。今回ご紹介した対策を実践することで、ペットと飼い主さまが健やかに暮らせるだけでなく、安全に動物病院を受診できる環境を整えることも重要です。

愛知県みよし市にある犬と猫の病院「Ken doc.」
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<参考文献>
000747958.pdf (mhlw.go.jp)

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