定期検診の重要性〜早期発見できた不整脈の例〜
今回は、僧帽弁閉鎖不全症のわんちゃんが心臓の定期検診を受けていた事で、早期に不整脈を発見でき治療できた症例を紹介します。
僧帽弁閉鎖不全症になった場合、定期的にレントゲン検査や心臓の超音波検査などの心臓に関する検査を実施していきます。
今回のわんちゃんは定期的な検診の際に聴診で心臓の不正なリズムと心拍数に対して脈拍数が少ないことから不整脈の可能性を考え、予定より早めの心臓の定期検診を実施した所、不整脈が見つかりました。
6、11、17、21、23拍目が異常な心電図の波形です。
この時の心臓の状態を超音波検査で確認してみると・・・
赤丸で示した部分が不整脈を起こしている部分です。
正常波形の僧帽弁逆流速度と比較して、異常波形の逆流速度が低いことがわかります。
逆流速度が低いと言うことから、異常波形を示している時は全身に駆出する血液量が少なくなっていることが予想されます。
幸い、今回のわんちゃんは飼い主様が気づくような症状を示しておらず、日常生活に問題はない状態でした。
しかしながら、今後失神などの症状を呈する可能性も考えられたため、不整脈の治療を開始しました。
薬を飲み始めてから徐々に聴診でわかるような不整脈は認められなくなりました。
治療開始から2ヶ月後の心電図検査では実際に検査中の不整脈は認められなくなりました。
超音波検査でも不整脈は見られず、それに伴って、僧帽弁逆流速度も一定になっています。
今回は飼い主様が気づく症状もなかったため、治療後も日常生活では特に変わったことはないようですが、不整脈によっては失神・突然死のリスクもあるだけに早期発見早期治療ができてよかったのではないかと思います。
今回のように日々の定期検診で問題が見つかる事もありますのでぜひ定期的な健康チェックをお勧めします。
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