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歯周病シリーズ①~無症状でも侮るなかれ!!口と鼻が繋がってしまう病気「口腔鼻腔瘻管(こうくうびくうろう)|検査・診断編」~

歯周病とは・・・

 

歯周病菌によって引き起こされる細菌感染症で、

歯茎(歯肉粘膜)や歯を支える骨(歯槽骨)が炎症によって破壊されていく病気です。

 

歯周病菌は歯の周りに付着する歯垢(プラーク)に存在します。

歯垢は2日程すると歯石に変化し始めます。

歯石になると歯磨きでは取り除くことが困難となります。

 

歯垢の元は食べかすが変化したものです。

1グラム歯垢の中に1000億以上の歯周病菌がいるとも言われています。

これを放っておくと菌の作った酸が歯茎や歯の表面のエナメル質、歯を支えている骨を溶かして、歯周病になります。

 

初期症状は歯茎の赤みや腫れ、出血などですが、痛みを伴わないことも多く、

気がつかないうちに進行してしまう怖い病気です。

 

進行すると・・・

 

エサの食べが悪い

口臭がきつい

口をカクカクさせる

口の周りを触るのを嫌がる

目の下やあごが腫れる

激しいくしゃみをする

鼻から膿が出る

など

 

症状が認められるようになります。

 

今回は、犬歯を支えている歯槽骨が破壊されて、その下の鼻の骨に穴が開いてしまったワンちゃんのお話です。

 

治療前の左上顎の犬歯

右の犬歯(上の写真|左側)と比べ、歯の外側の前縁から内側に向かって歯周ポケットに歯垢が溜まっているのが分かります。

 

付着している歯垢と歯石を除去すると・・・

歯垢を取ると歯茎も侵食されてスリット状に無くなっているのが分かります。

 

プローブ検査をすると・・・

右上顎犬歯(写真上)に比べ、先端がプローブ根元まで入ってしまうほど深い穴が開いてしまっています。

 

この隙間から染色液を流すと・・・

出るはずのない鼻の穴から出てきました。

 

骨が溶けて、歯の根元と鼻の間が繋がってしまっている状態、

つまり口腔鼻腔瘻(こうくうびくうろう)になっていました。

 

更に悪化すると、食べかすが鼻の中に入ってきて、鼻腔炎を起こしたり、骨折をしたりすることもあります。

ここまで進行してしまうと外科治療が必要となることが少なくありません。

 

歯周病は心臓病の原因にもなるとも言われており、

定期的な歯科検診とプライマリケアをしていると2割ほど寿命が伸びるという報告もあります。

 

日々の歯みがきや定期的な歯石除去などのプライマリケアがとても大切です。

 

デンタルケアにつきましては当院獣医師または動物看護師に気軽にお尋ねください。

 

次回は「治療編」のお話をします。