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愛犬の皮膚がかゆい?マラセチア皮膚炎の症状と治療法

愛犬が頻繁に体をかゆがったり、皮膚がべたつく様子を見せたりしていませんか?もしかするとその症状は、マラセチア皮膚炎が原因かもしれません。
この病気はすべての犬に発症リスクがあり、特に気温や湿度が高い時期に多くみられます。愛犬の皮膚を健康に保つためには、予防法や適切なケアを知っておくことが大切です。

今回は、マラセチア皮膚炎の症状や原因、治療法について詳しく解説します。

■目次
1.マラセチア皮膚炎とは?症状のサインを見逃さない
2.なぜマラセチア皮膚炎になるの?主な原因と仕組み
3.家庭でできる予防とケア
4.獣医師の診察が必要なタイミング
5.治療方法と回復までの期間
6.まとめ

マラセチア皮膚炎とは?症状のサインを見逃さない


マラセチアとは、皮膚の表面に常在するカビの一種(酵母様真菌)です。顕微鏡で見るとピーナッツや雪だるまのような形をしていて、皮脂を好む性質があります。普段は悪さをしませんが、皮脂の分泌が過剰になると、マラセチアが異常に増殖し、皮膚炎を引き起こします。

<主な症状>

初期段階では、フケの増加皮膚のベタつきが見られ、次第に赤みかゆみが現れます。さらに悪化すると、以下のような症状がみられることがあります。

脱毛:部分的に毛が抜ける
皮膚の黒ずみや厚み:色素沈着し、象の皮膚のように厚くなる
体臭が強くなる:脂っぽい臭いがする

こうした変化が見られたら、早めに適切な対策を行いましょう。

なぜマラセチア皮膚炎になるの?主な原因と仕組み


マラセチア皮膚炎は、以下のような原因で発症しやすくなります。

1. 高温多湿の環境
マラセチアは湿度が高い環境を好むため、梅雨時期夏場に悪化しやすくなります。

2. 体質による影響
皮脂の分泌が多い犬は、マラセチアが繁殖しやすくなります。特に、以下の犬種は発症リスクが高いとされています。

▼発症しやすい犬種
アメリカン・コッカー・スパニエル
ウエストハイランド・ホワイト・テリア
ダックスフンド
ラブラドール・レトリバー
ジャーマン・シェパード
シー・ズー

3. 他の病気や食事の影響
アトピー性皮膚炎ホルモンの病気がある犬は、マラセチア皮膚炎を併発しやすい傾向があります。また、不適切な食事が原因で皮脂の分泌が増え、発症リスクを高めることもあります。

家庭でできる予防とケア


マラセチア皮膚炎を防ぐためには、皮膚を清潔に保つことが重要です。

<シャンプーで皮脂をコントロール>

シャンプーは月に1~2回が基本ですが、皮膚のベタつきが気になる場合は週1~2回まで増やしてもよいでしょう。事前に犬用のクレンジングオイルを使うと、皮脂を効率的に落とせます。

<ブラッシングで皮膚の状態をチェック>

ブラッシングは皮膚の健康維持に役立ちます。皮膚を傷つけないよう、やさしく行いながらフケや異常の有無を確認しましょう。

<室内の温度・湿度管理>

特に梅雨時期や夏場は、室温を25℃前後湿度を50%程度保つことが推奨されます。エアコンや除湿機を活用し、快適な環境を維持しましょう。

獣医師の診察が必要なタイミング


次のような症状が見られたら、早めに獣医師に相談しましょう。

シャンプーやスキンケアをしても症状が改善しない
皮膚が赤く腫れている、分厚くなっている
黒ずみや色素沈着が見られる
出血やただれがある

放置すると細菌感染を伴うことがあり、治療期間が長引くこともあります。悪化を防ぐためにも、適切なタイミングで受診しましょう。また、皮膚炎を起こす背景にホルモンの病気が隠れていることもあるため、自己判断はせずに動物病院に相談することをおすすめします。

治療方法と回復までの期間


マラセチア皮膚炎の治療は、症状の程度によって異なります。

<治療方法>

症状の程度に応じて内服薬やシャンプー療法を組み合わせて行います。

・薬物療法
抗真菌薬(イトラコナゾール、ケトコナゾールなど)の飲み薬を約4週間使用します。アトピー性皮膚炎を併発している場合は、ステロイドや免疫抑制剤を併用することもあります。

・シャンプー療法
抗真菌薬を配合したシャンプーを週2回、約2週間使用します。皮膚の状態によって、クレンジングオイルや硫黄系入浴剤、保湿系シャンプーを併用することもあります。

<治療の流れ>

治療は段階的に進め、皮膚の状態を見ながら適切なケアを続けていくことが重要です。

1. 診察・検査(皮膚の状態を確認し、マラセチアの有無を検査)
2. 治療開始(薬の処方やシャンプー療法)
3. 経過観察(1~2週間ごとに通院し、改善状況を確認)

治療期間は症状によって異なりますが、軽症なら2~3週間、重症の場合は1~2カ月かかることもあります。マラセチア皮膚炎は適切な治療を行えば改善が期待できますが、症状が慢性化しないように定期的なケアを続けることが大切です。

まとめ


マラセチア皮膚炎は、皮膚に常在するカビが原因で発症するため、どの犬にも起こりえます。特に夏や梅雨時期はリスクが高まるため、日頃から皮膚の健康を意識したケアを行うことが大切です。ただし、愛犬の皮膚状態に合わせたシャンプーの種類や頻度は、個体差があります。自己判断せず、かかりつけの獣医師と相談しながら、最適なケア方法を見つけていきましょう。もし症状が長引く場合や、赤み・脱毛などが見られた場合は、早めに受診することをおすすめします。

 

◼犬の皮膚疾患についてはこちらの記事もご覧ください
皮膚炎② ~マラセチア性皮膚炎 強いかゆみを伴う皮膚炎~
皮膚炎③ ~マラセチア性皮膚炎 皮膚炎がなくかゆみしかない症例~
愛犬の乾燥肌が気になる飼い主さまへ|獣医師が教える原因と対策
皮膚炎① ~細菌性皮膚炎(膿皮症)かゆみを伴わない症例~

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