子犬のワクチン接種スケジュール┃何歳でどんな予防接種が必要?
生まれたばかりの子犬は、母親からもらった免疫(移行抗体)によって一時的に感染症から守られています。しかし、この移行抗体は時間とともに減少していき、その後は子犬が自分で抗体を作る必要があります。そこで、ワクチン接種が重要です。ワクチンを適切なタイミングで接種することで、子犬が感染症から守られるようになります。
今回は、子犬を迎えた際に必要なワクチンの接種スケジュールについて詳しくお伝えします。
■目次
1.ワクチン接種の基本
2.年齢別ワクチン接種スケジュール
3.各種ワクチンの詳細
4.ワクチン接種前後の注意点
5.よくある質問
6.まとめ
ワクチン接種の基本
ワクチンとは、病原体の毒性を弱めたり無毒化したものを体内に入れて、免疫を作るためのものです。ワクチン接種により抗体が作られ、特定の病気から守ることができます。
犬のワクチンは、以下の2種類に分類されます。
〈コアワクチン〉
すべての犬に必ず接種しなければならない、致死的な感染症を予防するためのワクチンです。
・犬ジステンパーウイルス
・犬アデノウイルス(犬伝染性肝炎)
・犬パルボウイルス
〈ノンコアワクチン〉
飼育環境や地域によって感染リスクのある犬に接種するワクチンです。
・犬コロナウイルス
・パラインフルエンザウイルス
・レプトスピラ
年齢別ワクチン接種スケジュール
・生後6〜8週齢
母親からの移行抗体が減少し、感染症にかかりやすくなるため、混合ワクチンの初回接種を行います。地域によっては、狂犬病ワクチンの接種も検討される場合があります。
・生後10〜12週齢
初回接種から2〜4週間後に、2回目の混合ワクチンを接種します。ノンコアワクチン(犬コロナウイルスやレプトスピラなど)の接種を行うこともあります。
・生後14〜16週齢
さらに2〜4週間後に、3回目の混合ワクチンを接種します。狂犬病ワクチンを未接種の場合は、ここで接種の検討をします。
・生後16週齢以降
混合ワクチンの初年度の最終接種は、16週齢以降に行うことが推奨されています。16週齢まで2〜4週間隔で接種を行い、その後、6か月後に追加接種を検討します。
各種ワクチンの詳細
〈混合ワクチン(DHPP)〉
混合ワクチンには以下の感染症を予防する成分が含まれています。
・D:犬ジステンパーウイルス
・H:犬伝染性肝炎(犬アデノウイルス)
・P:犬パルボウイルス
・P:パラインフルエンザウイルス
コアワクチンに含まれる犬ジステンパーウイルス、犬伝染性肝炎、犬パルボウイルスは、感染力・致死率が高く、必ず予防が必要です。
〈狂犬病ワクチン〉
狂犬病は、すべての哺乳類に感染し、致死率が極めて高い危険な病気です。日本では年に1回、4〜6月に狂犬病ワクチンの接種が法律で義務付けられています。
〈ボルデテラワクチン〉
ボルデテラ菌は、犬にケンネルコフ(犬伝染性気管支炎)と呼ばれる咳や気管支炎の原因となります。鼻腔にスプレーする鼻粘膜投与型のワクチンがあり、特に多頭飼いや集団生活の犬に推奨されます。
〈レプトスピラワクチン〉
レプトスピラは、発熱や食欲不振などの症状を引き起こす細菌で、人獣共通感染症(人にも感染する)です。感染したネズミの尿から犬に感染することが多いため、特に山や川で遊ぶ機会のある犬には接種が勧められます。
〈ライム病について〉
ライム病は、ダニに噛まれることで感染する人獣共通感染症です。残念ながら、ライム病を予防するワクチンは現時点で存在しません。そのため、ダニ予防(スポットオン剤やマダニ用首輪など)を徹底することが、最も効果的な対策となります。
ワクチン接種前後の注意点
・接種前
子犬が健康であることが大前提です。接種前には、食欲、元気、排尿・排便、吐き気の有無などをチェックしましょう。
・接種後
副反応が出る場合もあるため、その後の体調の変化に注意しましょう。
・接種後10〜15分以内
呼吸困難、ぐったりする、嘔吐、けいれんなどのアナフィラキシー反応が現れることがあります。このような症状が見られた場合は、すぐに動物病院を受診してください。
・接種後数時間〜数日以内
顔の腫れや発赤、発熱、注射部位の痛みが出ることがあります。このような場合は、激しい運動やシャンプーを避け、症状が続くようなら動物病院に相談しましょう。
よくある質問
Q.ワクチンの副作用はありますか?
A.ワクチンには副作用のリスクがあるため、接種後30分ほどは病院内で様子を見ると安心です。
Q.室内犬でもワクチンは必要ですか?
A.動物病院やトリミング、ペットホテルで他の犬と接触する可能性があるため、室内犬でもワクチン接種をお勧めします。
Q.ワクチン接種を遅らせても大丈夫ですか?
A.子犬の体調によってはワクチン接種を遅らせる場合もあります。獣医師にご相談ください。
まとめ
子犬の免疫はまだ未発達で、重篤な感染症は命に関わることもあります。そのため、定期的なワクチン接種は、子犬を感染症から守るために欠かせません。また、必要なワクチンは地域や生活環境によって異なるため、かかりつけの獣医師と相談しながら適切に接種しましょう。
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