愛犬の消化器疾患|下痢や嘔吐の原因と対処法、食事管理のポイント
愛犬の下痢や嘔吐といった消化器症状は、比較的よく見られるトラブルのひとつですが、急に症状が現れると、どうしていいかわからず不安に思われる飼い主さまもいらっしゃるかと思います。実際、軽い症状であっても原因によっては深刻な病気が隠れていることもあり、そういった場合は適切な対処が求められます。
今回は犬の消化器疾患に関する基本的な知識と、飼い主さまができるケアについて獣医師が解説します。
■目次
1.犬の消化器疾患とは?主な症状と見分け方
2.要注意!すぐに病院に連れていくべき症状とは
3.消化器疾患の原因と予防法
4.愛犬の食事管理のポイント
5.まとめ
犬の消化器疾患とは?主な症状と見分け方
「消化器」とは、食道・胃・腸・肝臓・胆嚢・膵臓など、食べ物の消化・吸収・排泄に関わる臓器のことを指します。消化器疾患とは、これらの臓器に異常が生じ、消化・吸収・排泄の機能が正常に働かなくなる状態をいいます。
犬の消化器疾患の主な症状には、下痢・嘔吐・食欲不振・腹痛などがあります。これらの症状が見られた場合、次のようなポイントを観察し、動物病院に相談する際に伝えられるようにしましょう。
<症状別のチェックポイント>
▼下痢
・いつから続いているか
・便の色(茶色・黒色・赤色)
・便の硬さ(水っぽい・泥状・半固形など)
・血が混じっているか
▼嘔吐
・何回嘔吐したか
・嘔吐物の内容(フード・未消化物・黄色い液体・血が混じっている など)
・嘔吐後の状態(元気はあるか、ぐったりしていないか)
・異物を誤飲していないか
▼食欲不振
・いつから食べていないか
・どれくらいの量を食べているか
・元気はあるか
▼ 腹痛
・元気がなく、うずくまって動かない
・お腹を触ると嫌がる
・背中を丸めた姿勢を取る
こうした情報をできるだけ詳しく獣医師に伝えることで、診断がスムーズになります。
要注意!すぐに病院に連れていくべき症状とは
消化器疾患の中には、緊急性が高く、すぐに動物病院を受診するべきケースもあります。以下のような症状が見られたら、迷わず動物病院に相談しましょう。
・嘔吐や下痢が続き、水分を取れない状態(脱水のリスク)
・血便や黒色便が出る(消化管内で出血しているおそれ)
・頻繁な嘔吐や食欲の完全な消失(胃や腸の閉塞、重度の感染症の疑い)
・異物を誤飲した疑いがある(腸閉塞や中毒のリスク)
特に中毒や異物誤飲の場合、対応が遅れると命に関わることがあります。例えば、愛犬が散歩中に誤って口にしてしまったもので中毒が起こると、場合によっては肝臓や腎臓にも障害が生じることもあるため、早急な処置が必要です。異変を感じたら、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。
◼犬の誤飲誤食についてはこちらの記事もご覧ください
消化器疾患の原因と予防法
犬の消化器疾患は、さまざまな原因によって引き起こされます。ここでは、主な原因と、日常生活での予防策を紹介します。
<食べ過ぎや急な食事変更>
体質に合ったフードを選び、急な食事変更は避けましょう。新しいフードに切り替える場合は、1週間程度かけて徐々に移行します。
<異物摂取・誤飲>
おもちゃ、骨、おやつのかけら、ひも状のものなどが腸に詰まる危険があります。誤飲しやすいものは犬が届かない場所に片付けましょう。
<ストレス>
環境の変化や運動不足がストレスとなり、消化器症状を引き起こすことがあります。安心して過ごせる環境を整え、適度な運動を心がけましょう。
<細菌・ウイルス感染>
ウイルス性の胃腸炎や細菌感染による下痢・嘔吐が起こることがあります。混合ワクチンの接種によって予防できる感染症もあるため、定期的なワクチン接種を忘れずに行いましょう。
◼犬のワクチン接種についてはこちらの記事もご覧ください
愛犬の食事管理のポイント
消化器の健康を守るためには、適切な食事管理が不可欠です。また、下痢や嘔吐がある場合、食事の与え方を調整する必要があります。
・食事の量・回数を調整する
症状が軽い場合は、一度に与える量を減らし、回数を増やすことで胃腸の負担を軽減できます。
・消化しやすいフードを選ぶ
消化器疾患の犬向けに、消化吸収が良く、腸内環境を整える療法食が動物病院で処方されることがあります。必要に応じて獣医師に相談しましょう。
・フードの温度や柔らかさを調整する
胃腸に負担をかけないために、フードをぬるま湯でふやかしたり、常温に戻して与えるのも効果的です。
まとめ
愛犬の消化器疾患は珍しいものではありませんが、症状によっては深刻な状態につながることもあるため、注意が必要です。下痢や嘔吐が続く場合はもちろん、「少し元気がないな」「いつもと違うかも?」と感じたら、愛犬の様子をよく観察し、必要に応じて早めに動物病院に相談することが大切です。
また、普段から食事管理やストレスの軽減、異物誤飲の防止を心がけることで、消化器疾患のリスクを減らすことができます。定期的な健康チェックやワクチン接種を活用し、病気の予防にも努めましょう。
当院では、どなたでも安心してお話ししていただける、オープンで信頼できる診療環境を大切にしています。「こんなことで相談してもいいのかな?」と感じるような些細な変化でも、どうぞ遠慮なくご相談ください。
◼犬の消化器疾患についてはこちらの記事もご覧ください
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