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梅雨に増える犬の皮膚トラブル!気をつけたい症状と対処法を獣医師が解説

梅雨はジメジメと湿度が高く、カビや細菌が繁殖しやすい季節です。このような環境は、犬の皮膚にも大きな影響を及ぼします。特に皮膚炎や感染症など、湿気に起因する皮膚トラブルが増えやすい時期です。

愛犬の健康な皮膚を守るためには、正しい知識と早めの対処がとても大切です。

今回は、梅雨時期に見られる皮膚トラブルの種類や予防・対処法、動物病院でのケアまで、獣医師の視点から解説します。


■目次
1.梅雨に増える犬の主な皮膚トラブルとは?
2.愛犬の皮膚病を見逃さない!チェックすべきポイント
3.ご家庭でできる応急処置とケアのポイント
4.動物病院での診断と治療
5.まとめ|梅雨の皮膚トラブルから愛犬を守るために

梅雨に増える犬の主な皮膚トラブルとは?


湿度の高い梅雨の時期は、皮膚病を引き起こすカビや細菌が繁殖しやすくなります。ここでは、特に注意したい代表的な皮膚疾患を3つご紹介します。

・マラセチア皮膚炎
皮膚の常在菌である「マラセチア菌」が異常に増殖することで、皮膚に炎症が起こります。
【主な症状】赤み・べたつき・かゆみ・かさぶた・脱毛 など

◼犬のマラセチア皮膚炎についてはこちらの記事もご覧ください

 

・皮膚糸状菌症(白癬)
「糸状菌」というカビが皮膚に感染して起こる皮膚病で、人にも感染することがある人獣共通感染症です。免疫力が下がっている犬がかかりやすく、特に顔まわりをかゆがるのが特徴です。
【主な症状】円形の脱毛・フケ・かゆみ・赤み など

・急性湿疹(ホットスポット)
高温多湿の環境で急激に進行する皮膚の化膿性炎症です。強いかゆみにより、犬が執拗に舐めたり噛んだりすることで急速に悪化します。
【主な症状】強いかゆみ・ジュクジュクとした皮膚・赤み・脱毛・悪臭 など

愛犬の皮膚病を見逃さない!チェックすべきポイント


皮膚病は愛犬のQOL(生活の質)を大きく下げる原因となるため、早期発見・早期治療が何より重要です。以下のような変化が見られたら、皮膚トラブルの可能性を考えましょう。

体を頻繁に舐めたり噛んだりしている
皮膚に赤みや湿疹がある
毛が抜けている、薄くなっている部分がある
体から脂っぽいにおいがする
耳垢が増えている、耳をかゆがるようなしぐさをする(頭を振るなど)

特に急性湿疹は数時間で症状が悪化することもあるため、早期の対応が肝心です。少しでも気になる様子があれば、早めにかかりつけの動物病院に相談しましょう。

ご家庭でできる応急処置とケアのポイント


皮膚トラブルに気づいたとき、動物病院を受診するまでの間にご家庭でできる応急処置があります。ただし、あくまで一時的な対応であるため、早期に獣医師の診察を受けることが大切です。

<患部を清潔に保つことが基本>

皮膚トラブルの初期段階では、患部をできるだけ清潔で乾燥した状態に保つことが重要です。

・ぬるま湯でやさしく洗い流す
赤みやかゆみがある場合は、ぬるめのお湯で軽く洗って汚れを落とすと、症状の悪化を防ぎやすくなります。
ただし、皮膚がジュクジュクしている・化膿している場合は悪化の恐れがあるため洗わずに病院へ行くようにしてください。

・清潔なタオルでしっかり乾かす
湿った状態は細菌やカビの温床になります。洗った後や濡れた部分は、タオルを使って丁寧に水気をふき取りましょう

・患部を舐めさせない工夫
犬が患部を舐める・引っ掻くことで、症状が悪化することがあります。エリザベスカラーや洋服などを活用し、物理的に舐められないようにすることが効果的です。

<ご家庭でのケアの注意点>

応急処置はあくまで「その場しのぎ」であり、原因に応じた適切な治療をしなければ、再発や悪化のリスクが高まります。また、市販の軟膏や人間用の薬、インターネット上の民間療法などを独自に用いることは、かえって症状を悪化させるおそれがあるため避けましょう。

皮膚の状態が一見よくなっても、表面だけでは判断できないトラブルが隠れていることもあります。また、症状が慢性化すれば長期治療が必要になり、愛犬のQOL(生活の質)にも大きな影響を及ぼします。だからこそ「少し赤いだけかな?」「ちょっとかゆそうかも?」と思った段階で動物病院に相談することが、症状の重篤化を防ぐための第一歩です。

動物病院での診断と治療


皮膚病の治療は、原因や症状の程度によって大きく異なります。まずは何が原因で起きているのかを正しく突き止めることが重要です。

<診断>

動物病院では、獣医師が皮膚の状態を観察したうえで、必要に応じて以下のような検査を行います。

皮膚の細胞検査(スタンプ検査):細菌やマラセチア(カビの一種)の有無を確認
ウッド灯検査:特定のカビによる感染を調べる
スクレーピング検査:ダニなどの寄生虫を検出
血液検査:アレルギーや内臓の異常がないかを確認

これらの検査により、見た目だけでは判断できない皮膚病の原因を特定し、最適な治療方針を立てます。

<治療>

皮膚病の治療は原因によって異なり、抗生物質・抗真菌薬・かゆみ止め・薬用シャンプーなどを組み合わせて行います。アレルギーが関係する場合は、食事や環境の見直しも大切な一環です。

自己判断では適切な治療ができず、かえって悪化させてしまうおそれもあるため注意が必要です。

<定期的な通院が治療成功のカギ>

皮膚病は、一度の治療で完治するとは限らず、数週間から数ヶ月かけてゆっくり改善していくケースが多くあります。定期的に通院を続けることで、経過に合わせた治療の調整ができるほか、再発や別の症状の見落としも防げます

完治に向けては「早めの診断 → 原因に合った治療 → 継続的なケア」のサイクルが大切です。飼い主さまと獣医師とで協力しながら、愛犬の皮膚トラブルをしっかり改善していきましょう。

まとめ|梅雨の皮膚トラブルから愛犬を守るために


梅雨のような高温多湿の季節は、愛犬の皮膚にとってトラブルが起きやすい時期です。湿気による細菌やカビの繁殖は、ちょっとした刺激から皮膚炎を引き起こすこともあります。そのため、散歩後にしっかり体を乾かす、皮膚の変化に目を向けるなど、日常の小さな心がけが大切です。

少しの注意と、早めの対応が、愛犬の健やかな毎日を守ることにつながります。もし「いつもと違うかな?」と感じたら、どうぞお気軽に当院までご相談ください。私たち獣医師が、愛犬の皮膚の健康をしっかりサポートいたします。

◼犬の皮膚トラブルについてはこちらの記事もご覧ください

 

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