シニア犬に多い病気について|散歩を嫌がる、足を引きずるなどの症状がみられたら
人も高齢になると体の不調が増え始めるように、犬もシニア期に入るとさまざまな病気にかかります。犬のシニア期は犬種や大きさによって異なりますが、小型犬の寿命が13~15歳、大型犬の寿命が10~12歳ということを考慮すると、おおまかに小型犬では10歳、大型犬では8歳からシニアと見なすことができます。
今回はシニア犬で多い病気について、特に運動機能に関わるものをピックアップしてご紹介します。
■目次
1.散歩を嫌がる、足を引きずる、触ると痛がるなどの症状がみられる場合に疑われる病気
2.シニア犬によくみられる骨・関節の病気
3.まとめ
散歩を嫌がる、足を引きずる、触ると痛がるなどの症状がみられる場合に疑われる病気
シニアになると筋肉が落ち、若いころと比べて運動量が少なくなったり、お散歩を嫌がるようになったりすることがあります。これらの変化は単なる老化による影響もありますが、以下のような病気が隠れている場合もあります。
<骨の病気>
・骨肉腫などの骨の腫瘍
・骨折
<関節の病気>
・変形性関節症
・股関節形成不全
・前十字靭帯断裂
・膝蓋骨脱臼
<神経の病気>
・椎間板ヘルニア
<心臓の病気>
・僧帽弁閉鎖不全症
シニア犬によくみられる骨・関節の病気
シニア犬の運動機能が落ちているとき、特によくみられるのが「変形性関節症」です。
変形性関節症には以下の特徴があります。
〇変形性関節症の発症にはさまざまな要素が関わっている。
・遺伝
・関節のケガ
・過剰な運動
・肥満
・加齢
・早期の避妊・去勢手術
・肘や股関節形成不全などの関節に影響するその他の病気
〇関節に負担がかかることで関節軟骨が変性し、痛みを覚える。
〇以下のような症状が現れ、治療せずにいるとどんどん悪化する。
・背中が丸まってくる
・散歩に行きたがらない
・足をかばうように歩く
〇治療法には以下のような選択肢がある。
・内科療法:痛み止め(非ステロイド性抗炎症薬や分子標的薬などの抗体医薬)、関節軟骨を保護するサプリメント
・外科療法(手術):重度の場合
・その他の治療:理学療法(リハビリテーション)、関節の負担にならない程度の軽い運動
◼️シニア犬に多い病気について下記記事もご覧ください
咳などの症状がみられたら
しこりがある、食欲が落ちるなどの症状がみられたら
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まとめ
シニア期になると運動を嫌がることがあるかと思いますが、単なる「年のせい」ではなく、骨や関節の病気が隠れている場合もあります。特に変形性関節症は放置しておくと悪化するため、シニア期に入ったら2〜3ヶ月毎の定期診察を受け、関節の状態をチェックすることを推奨します。
愛知県みよし市にある犬と猫の病院「Ken doc.」
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<参考文献>
Face validity of a proposed tool for staging canine osteoarthritis: Canine OsteoArthritis Staging Tool (COAST) – ScienceDirect
Proposed Canadian Consensus Guidelines on Osteoarthritis Treatment Based on OA-COAST Stages 1–4 – PMC (nih.gov)
投稿者プロフィール
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