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猫の子宮蓄膿症~猫さんに発情出血はありません~

3日前から食欲がなく、おなかが張っててお尻が鉄臭い
気がするとの主訴で来院された猫さん。

様子を見てみると、かなり脱水していて元気が明らかに
ありませんでした。

発情を繰り返していたとのお話を
飼い主さんに伺い、この時点である病気を想定します。

検査の結果、白血球の上昇、総たんぱく質の増加などが
認められ、レントゲン検査やエコー検査では子宮が大きく
膨らんでいることが判明しました。

 

病名は、子宮蓄膿症という病気です。

お尻が鉄臭かったのは、陰部から血膿が排出されて
いたことが原因でした。

ご家族とご相談し、外科手術を行うことになりました。

猫さんの体調は万全とは言えないため、注意深く
手術を行いました。

検査結果のとおり、子宮の中には膿がたまって
パンパンになっていました。

猫さんの強さもあり順調に手術は進み、子宮を摘出
することができました。

 

手術後は炎症が強かったため貧血などが起きていました
が、元気はしっかりと出てきました。

術後2日目には
処置中に脱走を図るくらい元気になったため早めの退院
とし、通院中にもどんどん回復していきました。

子宮蓄膿症とは

定義としては、“子宮内膜の嚢胞性増殖と、感染による
炎症が起こり子宮内膜に膿性液が貯留した疾患”を
いいます。
要するに、子宮で炎症が起き膿がたまる病気です。

黄体ホルモンという、排卵後に分泌されるホルモンが
関連しているのですが、猫さんは通常は交尾排卵なので
発生しないはずの病気です。

運悪く自然排卵してしまうような、色々な条件が
重なると猫さんでも子宮蓄膿症になることがあります。

猫さんには犬さんのような発情出血は起きないため、
陰部から血膿が出ていたらかなり高い可能性でこの
病気を疑います。

治療法は外科と内科がありますが、基本的には
外科(手術)が推奨されます。

子宮蓄膿症の予防

確実性の高い予防法は避妊手術です。
発情自体もあまりに高頻度な場合は猫さんの
ストレスとなるため、猫さんが適齢になったら
避妊手術の実施をおすすめします。

投稿者プロフィール

奥村 めぐみ
奥村 めぐみ獣医師
獣医総合臨床医、指導獣医師

○診療科目
内科全般担当