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犬の寒さ対策|冬に注意したい関節痛と循環器の健康管理

朝晩の空気がひんやりと感じられるようになり、季節の変わり目を迎えていますが、犬も寒さの影響を受けることをご存じでしょうか。

毛に覆われているため寒さに強そうに見えますが、私たち人間と同じように気温の変化によって体調を崩してしまうことがあります。特に、関節に痛みが出たり、心臓に負担がかかることもあるため、冬の寒さ対策はとても大切です。

今回は、寒い時期に気をつけたい犬の健康管理について、関節と循環器に焦点を当てて解説します。


■目次
1.犬と寒さ|体に起こる変化
2.冬に悪化しやすい関節症状
3.寒さが負担となる循環器疾患
4.ご家庭でできる冬の寒さ対策
5.まとめ

犬と寒さ|体に起こる変化


犬は人と同じように寒さの影響を受けますが、その感じ方は犬種や体格によって異なります。

<毛の構造と寒さへの強さ>

犬の毛には大きく分けて2種類があります。

オーバーコート:皮膚を守る毛
アンダーコート:体温を調節する毛

寒い地域原産の犬などのようにアンダーコートが発達していると寒さに強い一方、暑い地域原産の犬などのアンダーコートが少ない犬種は、寒さに弱い傾向があります。

また、小型犬や短毛種(例:ミニチュア・ピンシャーなど)などの、体が小さく皮下脂肪が少ない犬種も寒さの影響を受けやすいとされています。

<寒冷ストレスがもたらす変化>

寒さは犬の体に「寒冷ストレス」として影響を及ぼします。具体的には次のような変化が起こります。

体温を維持するために代謝が上がり、エネルギーを多く消費する
血流が悪くなり、体の隅々まで酸素や栄養が届きにくくなる

その結果、疲れやすくなったり、持病が悪化したりすることもあります。特に、シニア犬や心臓・関節に持病を抱える犬は、こうした変化が体調に直結しやすいため注意が必要です。日常的により丁寧な体調管理と寒さ対策を心がけてあげましょう。

冬に悪化しやすい関節症状


人と同じように、犬の関節の症状も冬に悪化しやすいといわれています。寒さによって血流が低下すると筋肉がこわばり、さらに冷えで筋肉や腱そのものが硬くなってしまうため、関節を動かすと痛みが出やすくなるのです。

関節の痛みが疑われるサインには、次のようなものがあります。

歩くスピードが落ちる、歩き方がぎこちない
足を引きずる
散歩を嫌がる
立ち上がるのに時間がかかる
段差を避ける、またはためらう

寒さで散歩や運動量が減ると、筋肉や関節がさらに硬くなり、悪循環につながってしまいます。特にシニア犬はこうした影響が強く出やすいため、日々の観察が大切です。

▼犬の関節トラブルについてはこちらで詳しく解説しています

 

寒さが負担となる循環器疾患


冷えによって血管が収縮すると血圧が上がり、心臓にかかる負担が大きくなります。そのため、もともと心臓に持病のある犬は冬場に注意が必要です。

代表的な症状には、次のようなものがあります。

咳が出る
疲れやすい
呼吸が速くなる

さらに、寒い場所から急に暖かい場所へ移動すると血管が急激に拡張し、血圧が下がって「ヒートショック」と呼ばれる状態を引き起こすことがあります。人の場合は失神や不整脈、心筋梗塞、脳卒中の原因になることがあり、犬にとっても危険な負担となり得ます。

▼犬の心臓病についてはこちらで詳しく解説しています

 

ご家庭でできる冬の寒さ対策


犬にとって冬の寒さは、関節や心臓に思わぬ負担を与えることがあります。だからこそ、日常の中でできるちょっとした工夫がとても大切です。ここでは、ご家庭で実践しやすい寒さ対策を紹介します。

<室内での工夫>

犬が長い時間を過ごす室内環境は、快適さと安全性の両立がポイントです。

・室温と湿度を一定に保つ
室温は20〜22℃、湿度は50〜60%が目安です。暖房と加湿器を併用することで、冷えすぎや乾燥を防ぎます。

・部屋ごとの温度差をなくす
居室と廊下や玄関の温度差が大きいと体に負担がかかります。サーキュレーターやカーテンを活用して空気の流れを工夫するなどして、急な温度変化を避けましょう。

・床の冷え対策
床からの冷えは関節に響きやすいため、断熱効果のあるマットを敷くのがおすすめです。ホットカーペットやこたつを使う場合は、低温やけどや熱中症に注意してください。

・快適なベッド作り
ベッドは冷たい床から離し、保温性のある素材を選ぶと安心です。

<散歩の工夫>

寒いからといって散歩を控えると運動不足になり、関節や筋肉が硬くなってしまいます。無理のない範囲で外に出る工夫をしましょう。

・時間帯を工夫する
朝晩の冷え込みを避け、日中の暖かい時間帯に出かけると体への負担が減ります。

・防寒具を活用する
小型犬や短毛種は冷えに弱いため、犬用のコートやセーターを着せると安心です。

・ウォームアップを取り入れる
出発前に室内で軽く体を動かすことで、筋肉や関節が温まりケガの予防にもつながります。

<食事の工夫>

食事も冬の健康維持に欠かせません。

・体重管理を意識する
寒さでエネルギー消費が増えるため、痩せやすくなります。体重の変化を定期的にチェックしましょう。

・フードの選び方
関節や心臓に配慮した栄養バランスの良いフードを選ぶことで、寒さによる負担を和らげるサポートになります。

<定期健診と早めの受診も忘れずに>

こうした工夫を続けることで体への負担を減らすことができますが、それでも症状が隠れて進行している場合があります。定期的な健康診断でチェックしてあげることが大切です。

また「ちょっと疲れやすいかな?」「咳が増えた気がする」など小さな変化を感じたら、早めに動物病院にご相談ください。早期に気づいて治療を始めることで、病気の進行を防ぎ、愛犬の負担を軽くすることにつながります。

▼犬の健康診断についてはこちらで詳しく解説しています

 

まとめ


冬の寒さは、犬の関節や心臓に大きな負担となることがあります。毛に覆われていても寒さに強いとは限らず、体格や犬種、年齢、持病によって影響の出方はさまざまです。

大切なのは、飼い主さまが「うちの子は大丈夫かな?」と意識を向け、日常の中でできる工夫を重ねてあげることです。室内環境を整えたり、散歩のタイミングを工夫したり、定期的に健康診断を受けたりと、小さな配慮の一つひとつが愛犬の健康と安心につながります。

そして、もし「最近ちょっと様子が違うな」と感じたら、その小さなサインを見逃さず、早めに動物病院にご相談ください。これからの寒い季節も一緒に工夫して乗り越えていきましょう。

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