短頭種の「息が苦しそう」に注意|夏の呼吸トラブルと日常生活のポイント
フレンチ・ブルドッグやパグなどの短頭種は、鼻先が短く、呼吸のトラブルが起こりやすい犬種です。「いつもいびきをかいているから」「少し息が荒いのは、この犬種では普通だから」と思われがちですが、なかには呼吸に負担がかかっているサインが隠れていることもあります。
特に夏は、気温や湿度の上昇によって気道への負担が増え、短時間で状態が悪化することもあります。以前は春から夏にかけて少しずつ暑さに慣れる期間がありましたが、近年は気温が急激に上がる日も多く、呼吸状態を崩して来院する短頭種の子が一気に増えることもあります。
今回は、短頭種に呼吸トラブルが起こりやすい理由や、夏の散歩、室温管理など、日常生活で注意したいポイントについて解説します。

■目次
1.短頭種とはどんな犬種?
2.短頭種に多い呼吸トラブルの特徴
3.日常生活で気をつけたいポイント
4.受診を検討すべきサイン
5.まとめ|短頭種の呼吸を「体質」で終わらせないために
短頭種とはどんな犬種?
短頭種とは、ほかの犬種と比べて鼻先が短く、顔が平らな形をしている犬種のことです。代表的な犬種には、次のような犬が挙げられます。
・フレンチ・ブルドッグ
・ブルドッグ
・パグ
・ボストン・テリア
・ペキニーズ
・シー・ズー
・狆
・ボクサー
短頭種は、生まれつき鼻や喉などの空気の通り道が狭くなりやすく、ほかの犬種よりも呼吸に負担がかかりやすい特徴があります。
また、これらの犬種を親に持つミックス犬でも、鼻先が短く、短頭種に近い顔つきをしている場合は注意が必要です。
短頭種に多い呼吸トラブルの特徴
短頭種の呼吸トラブルは、次のような形で表れることがあります。
・大きな呼吸音
「ガーガー」「ブーブー」といった音が聞こえることがあります。犬種の特徴として見られる場合もありますが、音が大きい場合や安静時にも続く場合は、空気の通り道が狭くなっている可能性があります。
・運動後や興奮後の息苦しさ
激しくハァハァと呼吸をしたり、運動をやめてもなかなか呼吸が落ち着かなかったりすることがあります。呼吸が速くなると、もともと狭い気道にさらに負担がかかり、息苦しさが強くなることがあります。
・暑さや湿気による悪化
犬はパンティングと呼ばれる口呼吸によって体の熱を逃がします。しかし、短頭種は鼻や喉の構造上、熱を逃がすことが苦手なため、暑さや湿気によって呼吸への負担が大きくなります。
・加齢に伴う症状の悪化
気道への負担が続くことで、年齢とともに呼吸状態が悪化する場合があります。以前より呼吸音が大きくなった、少しの運動でも疲れやすくなったなどの変化に注意しましょう。
日常生活で気をつけたいポイント
短頭種の呼吸への負担を減らすためには、散歩や室内環境、体重管理など、日頃の過ごし方を工夫することが大切です。
<夏の散歩は無理をしない>
短頭種は、元気に歩いている状態から急に呼吸が苦しくなるまでの、言わば「黄色信号の幅」が極端に狭い犬種です。特に夏の日中は、短頭種に限らず散歩を避け、なるべく涼しい室内で過ごしましょう。
「毎日散歩をしなければ」と思うかもしれませんが、暑い時期は運動よりも命を守ることが優先です。散歩をする場合は、日の出前や日没後などの涼しい時間帯を選び、距離を短くするなどしたうえで、少しでも呼吸が荒くなったら早めに切り上げるようにしてください。
散歩を控えた日は、涼しい室内でおもちゃや知育玩具を使ったり、フードを探す遊びを取り入れたりすることで、無理なく体や頭を動かせます。
<温度と湿度を管理する>
短頭種は、呼吸によって体の熱を逃がすことが苦手です。夏はエアコンを使用し、外出中や夜間も室温や湿度が上がりすぎないようにしましょう。
設定温度だけで判断するのではなく、犬が過ごしている床付近に温湿度計を置き、実際の環境を数値で確認するのもおすすめです。
外出時には、タオルで包んだ保冷剤や犬用の冷却グッズを首元に使う方法もあります。ただし、あくまで補助的な対策として使用し、暑い時間帯の外出そのものを避けるようにしましょう。
また、冬も暖房の効きすぎや、暖かい室内から寒い屋外へ出る際の急な温度変化に注意が必要です。
▼犬の温度・湿度管理についてはこちらで詳しく解説しています
<興奮や首への負担を避ける>
短頭種は、興奮して呼吸が速くなることでも気道への負担が大きくなります。激しく遊ばせたり、興奮した状態を長引かせたりせず、呼吸が荒くなったら落ち着ける環境へ移動させましょう。
また、首輪で強く引っ張ると喉や気管を圧迫することがあります。散歩では、体に合ったハーネスを使用するのがおすすめです。
<適正体重を維持する>
肥満になると、首周りや胸部についた脂肪によって呼吸への負担がさらに大きくなります。食事量やおやつを見直し、適正体重を維持することも重要な呼吸管理のひとつです。
受診を検討すべきサイン
次のような様子が見られる場合は、呼吸状態が悪化している可能性があります。
・安静にしていても呼吸が明らかに苦しそう
・呼吸音が以前より大きくなった
・散歩や興奮のあと、なかなか呼吸が戻らない
・すぐに座り込む、歩きたがらない
・眠れない、食事が取りにくいなど日常生活に支障がある
・ふらつきや失神が見られる
・舌や歯茎が紫色になる
なお、舌や歯茎が紫色になる状態は「チアノーゼ」といい、体に十分な酸素が行き渡っていないサインです。失神やチアノーゼ、意識がもうろうとしているといった症状がある場合は、様子を見ることなく、すぐに動物病院へ連絡してください。
まとめ|短頭種の呼吸を「体質」で終わらせないために
短頭種の呼吸トラブルは、生まれつきの体質だから仕方がないと考えられがちです。しかし、日常的ないびきや呼吸音の裏で、愛犬が息苦しさを感じている可能性もあります。
短頭種と暮らすうえでは、もともと呼吸に負担がかかりやすいことを知り、心臓病のある犬をいたわるような気持ちで、運動や暑さを慎重に管理してあげることが大切です。
特に夏は、普段通りの散歩が大きな負担になることがあります。散歩を休むことに罪悪感を持つ必要はありません。涼しい室内での遊びに切り替えることも、愛犬を守るための大切な選択です。
短頭種は、呼吸状態が短時間で悪化することもあります。犬種の特徴をあらかじめ知っておくことで、早い段階で変化に気づきやすくなります。いつもと違う呼吸や、以前より強くなった症状が見られたら、お早めに動物病院へご相談ください。
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